音楽

自分の曲が物足りない理由。「縦・横・奥行き+音色」で理解する音楽の基本構成要素

自分の曲が物足りない理由。「縦・横・奥行き+音色」で理解する音楽の基本構成要素 音楽

数曲作ってみたけれど、自分の曲がどこか物足りない…
プロの楽曲と比べると安っぽく聞こえるし、音を重ねるほどごちゃごチャしてくる。
どこを直せばいいのか分からなくて手が止まっちゃうな…

その悩み、すごくよく分かります!
実は僕も昔、まったく同じところで壁にぶつかっていました。
でもそれって、センスがないわけじゃないんです。
「音楽がどんな構造で成り立っているか」を立体的に捉えるだけで、一気にクリアになりますよ!

曲を作ってみたものの、いざ聴き返してみると「なんだかあっさりしすぎている」「プロの曲のような迫力やまとまりがない」と感じることはありませんか?

満足がいかないと、つい「新しい音源プラグインを買えば解決するかも」「EQやコンプレッサーの決まり決まった設定があるはずだ」と、テクニックやツールに答えを求めがちですよね。

しかし、曲が物足りなく感じる根本的な原因は、技術不足だけではなく「音楽の基本構成要素」を立体的に整理できていないことにあります。

音楽は、時間と空間の中に音を配置していく3次元の立体構造です。

  • 音の重なりや濁りを整理する「縦の軸」
  • 時間の流れとストーリーを作る「横の軸」
  • 空間と空気感を生む「奥行きの軸」
  • 空間に置く要素の存在感を決める「音色(質感)」

この記事では、この3つの軸と「音色の質感」を使って、自分の楽曲を客観的に整理するための思考の方法をお伝えします。

「どこを修正すればいいか分からない」という迷いを減らし、自分のペースで納得のいく音響空間を組み立てていきましょう。

1. 【縦の軸】周波数と和音(高さの構造)

まず1つ目の軸は「縦の軸」、つまり音の高さ(帯域)と和音の重なりです。

縦の軸は、楽曲における「骨格・感情・色彩」を作り出す役割を持っています。
ここが整理されていないと、音を重ねれば重ねるほど全体が濁り、ごちゃごちゃした印象になってしまいます。
和音を工夫することで曲で表現できる幅が広がります!

和音は雰囲気を表現できる

和音とは、「2音以上を同時に鳴らしてできる音のこと」のことを言います。
この音の重なり方のバリエーションによって人間が感じる雰囲気を操作することが可能なのです!
例えば、以下のような説明をされることが多いです。

  • メジャーコード … 明るい雰囲気を出す
  • マイナーコード … 暗い雰囲気を出す
  • セブンスコード … オシャレな雰囲気を出す

その他にもコードの種類はたくさんあります。
コード単体だけではなくコードの並びによっても表現できる雰囲気が変わってくるため、和音を工夫するだけでも曲の雰囲気をガラッと変えることも可能!

和音の詳細な理論については当サイトでは紹介しませんが、音楽理論まで踏み込んで解説されている「自由派音楽理論」というサイトがおすすめです。
(私も参考としてお世話になったサイトです…!)
> 自由派音楽理論 – コード編

音が濁って、ごちゃごチャする場合の解決策

「音数を増やしたのに、なぜか迫力が出ない」という現象に悩んでいませんか?
それは、同じ帯域に複数の楽器が居座り、スペースを奪い合っていることが原因です。

特に問題になりやすいのが「低音〜ローミッド(中低音)」の帯域です。 ベース、キック、コード楽器の低音成分、ボーカルの下体部分などがこの狭いスペースに集中すると、音がお互いを打ち消し合ってしまいます。

  • 高音域: 楽曲のきらびやかさや開放感を生むエリア
  • 中音域: メロディやボーカルなど、曲の主役が主張するエリア
  • 低音域: 楽曲の土台を支え、ノリを生み出すエリア

縦の軸を整理するときは、「どの帯域にどの楽器が住んでいるか」をマンションの部屋割りように整理してあげることが大切です。

EQを用いて特定の周波数帯域の音量を調節できる処理を施すことで本当に聞かせたい帯域だけに絞り込み、帯域内での音のぶつかりを解消することができます。
音が濁るという悩みを持っている方は一度試してみてはどうでしょうか?

2. 【横の軸】時間と展開(流れの構造)

2つ目の軸は「横の軸」、つまり時間経過と展開のプロットです。

横の軸は、楽曲に「ストーリーとドラマ」を与える役割を持っています。
いくら良い音色を使っていても、横の軸の変化が乏しいと、聴き手はすぐに飽きてしまい「安っぽいループ素材の組み合わせ」のように感じてしまいます。

曲の構成を練る

曲をなんとなく聞いている方はあまり意識していないかもしれませんが、曲には基本的な構成パターンが存在します。
例えば、Aメロ/Bメロ/サビ/イントロなどの言葉がこの構成パターンに該当します。
言葉だけは聞いたことがある方が多いのではないでしょうか?

基本的には、曲の中では繰り返しを基本としますが、同じリズム・同じ伴奏パターンが延々と繰り返されると、人間の耳は刺激に慣れてしまいます。
物足りなさを解消するには、時間の流れの中に緩急をつける意識が必要。
(読み物でもよく聞く、いわゆる「起承転結」

例えば、以下がよくあるパターンです。

  • 2番のAメロではドラムのパターンを変えてみる
  • Bメロに入ったらベースの音数を減らして落差を作る
  • サビに向けて少しずつ楽器を増やし、密度を高めていく
  • ラストのサビは転調して雰囲気を変える

「次に何が起こるんだろう?」という期待感を、時間軸の上に配置していくイメージ。
どの構成パターンをどれくらいの時間だけ続けて、次へつなげるかという観点で構成を練ってみてはいかがでしょうか?

曲の構成はそれほどパターンはないので既存の好きな曲などから、構成を分析してみて取り入れてみてもいいかもしれませんね。

リズムによるノリ感を意識する

リズムは音楽を構成する最も重要な要素の一つです。
リズムによって曲の感じ方は大きく異なります。

リズムに関する要素としては大きく分けると以下の2つです。

  • 曲の速さ(BPM)
  • 音を刻む細かさと間隔

1. 曲の速さ

曲の速さは言うまでもなく感覚でわかる部分も多いと思います。
例えば、以下のような感じです。

  • 寝る前にゆったり聞きたいときにはテンポが遅めの音楽の方がイイ
  • 1日の初めに気分を上げたいときに聞きたいときにはテンポが速めの音楽の方がイイ
  • リズムゲームでノリノリになりたいときにはテンポが爆速の音楽の方がイイ

表現したい雰囲気に合わせて曲の速さを適切に設定することは重要な工程です。

2. 音を刻む細かさと間隔

「曲の速さ」は曲全体を通して一貫した速さでしたが、同じ速さの中でもリズムの緩急があります。
それが、音を刻む細かさと間隔で、いわゆる、8ビードや16ビートのようなものです。

リズムパターンはここでは挙げきれないので割愛しますが、

  • 少しリズムがテンポと合いすぎていて単調だな
  • ここだけ音を刻みすぎてせわしないな

などの感覚があれば、少しずらしてみる、音数を減らしてみるという方法を試してもいいかもしれません。

リズムについて詳しく知りたい人がいれば、和音の時にも紹介した「自由派音楽理論」の以下の内容を確認してみてもいいかもしれませんね。
> 自由派音楽理論 – リズム編

変化のサインを工夫する

時間の流れにドラマを生み出すために、明確な変化のサインを置くことで手軽に雰囲気を変えるのを手助けしてくれまさす。
よくある手法として、以下の2つあります。

  • 変化のサインを置く
    展開が変わる直前に、フィルイン(タム回し)やクラッシュシンバル、ライザー系効果音を置いて「次へ行くよ」と聴き手に教える。
  • あえて音を消す(引き算)
    サビに入る直前の1拍だけ、すべての音をバツッと消してみる。

曲は音が鳴っている時間が長いからこそ、無音や音数が少ない時間もひとつのサインとして活用できるのです。
音を足すことばかりではなく、「時間的な隙間」をどう作るかも考えてみましょう。

3. 【奥行きの軸】空間と配置(立体の構造)

3つ目の軸は「奥行きの軸」、つまり音の配置と空気感です。

奥行きの軸は、楽曲に「世界観や広がり、臨場感」を与える役割を持っています。 自分の曲がどこか平面的でノッペリしていると感じる場合、この奥行きの軸がうまく機能していない可能性が高いです。

曲の空間/立体の構造に関する観点はミックス/マスタリングという音を混ぜる、整えるという工程でよく話題に挙がる話です。
ただ、この観点はどの音をどこで鳴らすかという話なので、作曲/編曲の段階でも考えるべきだと思います。

すべての音を「真ん前」で鳴らしていませんか?

すべての楽器がセンター(中央)に配置され、しかもすべて目の前ゼロ距離で主張し合っている状態を想像してみてください。それはまるで、狭い部屋で全員がマイクを持って大声で叫んでいるようなものです。

これでは立体感が生まれず、うるさいだけで迫力が伝わらない曲になってしまいます。

奥行きを作るための考え方は、「部屋の中に家具を配置する作業」とよく似ています。

  • 左右(Pan)
    主役(ボーカル、キック、スネア、ベース)は中央に固定し、ギターやシンセサイザー、装飾音は左右に広く振る。
  • 前後(リバーブ・ディレイ・音量)
    前に出したい音は音量を大きく響きを少なくし、後ろに引っ込めたい音は音量を下げてリバーブ(残響)を深めにかける。

響きの層(レイヤー)で立体感を演出する

音の遠近感を意識できるようになると、楽曲の中に「手前・中和・奥」という層(レイヤー)が生まれます。

  • 一番手前: ボーカル、リード楽器(くっきり、はっきり聞こえる)
  • 中間: バッキングギター、ピアノ、メインのリズム(演奏の土台)
  • 一番奥: パッド音源、ストリングス、空間系の効果音(包み込む空気感)

「全部の音をハッキリ聴かせなきゃ」と思う必要はありません。 主役を引き立てるために、あえて奥に引っ込んでもらう音を作る。 この割り切りができるようになると、楽曲の立体感と世界観が一気に深まります。

4. 【音色の質感】空間に置く要素の「形状と素材」

これまで解説した「縦・横・奥行き」が音を配置する「部屋の空間」だとすれば、音色(トーンや質感)はそこに置く「家具の形状や素材」にあたります。

どれだけ空間(3軸)を綺麗に整理していても、「置く家具の主張が激しすぎる」と部屋はごちゃごちゃして見えてしまいます。

音色を選ぶ、あるいは加工するときの観点を以下に挙げておきます。

  • どの周波数帯域(音の高さ)で活躍する音か
  • 同時に鳴らすほかの音との相性が良いか
  • 左右に配置する音色がかけ離れていないか
  • 音そのものが持つイメージはどんなイメージか
  • 自分が好きな音色かどうか

あくまで、音を選ぶのは作曲者自身で自由です。
ただし、ある程度音色の持つイメージや相性は決まっているので、それを考慮しつつ自分の表現を探求しましょう!

デジタルで曲が創れる現在、音色は無限通り作れます。
プラグインなどいろいろ試してみて自分が好きな音を探求していきましょう!

まとめ:行き詰まったら「空間と配置」で整理しよう

音楽は、「縦(高さ)×横(時間)×奥行き(空間)」の3次元と、そこに配置する「音色(質感)」によって組み立てられています。

制作の途中で「なんだか物足りないな」「どこを修正すればいいか分からないな」と行き詰まったら、「才能がないんだ」と自分を責める必要はまったくありません。

単に、空間の中での音の渋滞や、配置・素材の組み合わせミスが起きているだけです。

そんなときは、以下の観点で自分の曲を客観的に整理してみてください。

  • 和音や帯域ごとの聞こえ方に問題がないか?(縦の軸)
  • 展開の変化、リズムに物足りなさがあるか?(横の軸)
  • 立体的な音の聞こえ方に問題がないか?(奥行きの軸)
  • 音色に満足できているか?(音色の質感)

要素を切り分けて考えられるようになると、次に修正すべきポイントが具体的に見えてくるはずです。

最初から完璧な立体空間を作れる人はいません。 僕たちクリエイターは、何曲も試形錯誤を繰り返しながら、自分なりの音の配置を覚えていきます。

焦る必要はありません。 まずは次にDTMソフトを開いたとき、「1つだけ軸や音色の置き場所を意識してみる」ところから試してみませんか?

あなたのペースで、理想の音響空間を少しずつ組み立てていきましょう!

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お悩み相談(マシュマロ)

著者

音楽制作(DTM・ボーカロイド)をきっかけに創作を開始。
現在は音楽・映像・プログラミングを横断しながら制作を継続。

「創作を始め、続けるハードルを下げる」ことをテーマに発信しています。

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